【2026年以降の労務】テレワーク・副業時代の労働基準法はどう変わる?企業が先取りすべき対応
労基法改正の議論が本格化。企業が“今”動き始めたいポイントをやさしく解説
こんにちは!名古屋市中村区(名古屋駅)にある社労士事務所、HANS社会保険労務士法人です。
いま厚生労働省では、働き方の多様化に合わせて「労働基準法を今の時代に合う形に見直そう」という動きが本格的に進んでいます。
リモートワーク、副業・兼業、フレックスタイムなど、働き方はここ数年で大きく変わりましたよね。
こうした変化に合わせて、法律のほうもアップデートが必要になってきている、というわけです。
そこで今回は、企業のみなさまが“今のうちに知っておくと安心できるポイント”をまとめてみました。
いま議論されている主なポイント
勤務間インターバル制度の義務化に向けた動き
「前日の勤務終了から次の勤務開始まで、しっかり休む」ための仕組みです。
現在は努力義務ですが、「義務化しよう」という流れが強まっています。
- 目的: 睡眠と健康を守るための休息時間の確保
- ポイント: どれくらいの休息時間にするか、例外はどうするか
- 企業への影響: シフト作成・残業承認の見直しが必要になる可能性
フレックスタイム制のルールがより使いやすい形に?
働き方の幅が広がるよう、清算期間(労働時間を調整する期間)を延ばす案などが出ています。
- 焦点: 清算期間の延長に伴う“時間の過不足”の扱い方
- 注意点: コアタイムや健康管理とのバランス
- リスク: 実際の働いた時間が見えにくくなる可能性
テレワーク時の「労働時間をどう把握するか」問題
在宅勤務では、どうしても時間管理が複雑になりがちです。
- 課題: 中抜け時間の扱い、作業ログの管理、実労働時間の把握
- みなし労働時間: 本当に裁量があるかどうかの確認が大切に
- ヒント: テレワークの作業ログや稼働状況の可視化には、Qasee(カシー)のようなツールを用いたり、打刻+端末ログ+チャット指示など、複数の記録を組み合わせる方法も
副業・兼業時の「労働時間の通算」ルール
複数の会社で働く方が増える中で、過労防止の観点から通算管理の仕組みが議論されています。
- 通算: 月の上限管理や深夜労働の把握がより重要に
- 情報共有: 過度な情報共有にならないよう、本人同意がカギ
- 配慮: 必要最小限の情報で運用することが前提
法改正を待たずにできる“ちょっとした”準備
| 対策の柱 | 具体的なアクション |
|---|---|
| 就業規則の見直し | テレワーク・副業のルールを今の働き方に合わせて整えておく。 |
| 勤務間インターバルの検討 | 自社の勤務体系で導入できるか、まずは試算してみる。 |
| ITツールの整備 | テレワークでも客観的に勤怠が取れる仕組みを準備しておく。 |
| 管理職研修 | 柔軟な働き方を認めながらも、健康配慮がしっかりできるよう教育する。 |
スムーズに導入するためのヒント
- ポリシー化: 「テレワーク手引き」や「副業申請フロー」を作っておく
- 見える化: 労働時間やインターバルをダッシュボードでチェック
- まずは小さく: 一部部署で試してから全社展開
- 部門連携: 情シス・人事・現場の定例会で課題を共有
柔軟に働ける環境づくりと健康管理の両立は、定着率アップにもつながります。
社会保険労務士 間瀬夏世